内山&山中両氏がそろって解説 大学リーグ戦

内山高志、山中慎介の両元世界チャンピオンが、珍しく解説者席に座っている。
 2人はほぼ同時期に長く世界王座に君臨した名選手。内山さん(45歳)はWBA世界S・フェザー
級王座を11度防衛し、山中さん(42歳)はWBC世界バンタム級王座を12度防衛――と、2人とも具
志堅用高さんの持つ13度世界王座防衛記録にあと一歩と迫ったことは記憶に新しい。内山さんは
「KOダイナマイト」、山中さんは「ゴッドレフト」のキャッチフレーズでも知られたように、ハー
ドパンチャーとして何度もスリリングなKO劇を演じてファンを楽しませてくれた。
 そんな2人は現在ともにテレビの解説者としてもおなじみだ。それぞれ契約が異なり同じ番組に
そろって参加することはまずない。しかし6月28日の後楽園ホールではそろって解説席に座った。
これはプロではなくアマチュアの関東大学ボクシング・リーグ戦。ユーチューブ配信の試合で2人
は日本大学―法政大学戦のゲスト解説を務めたのだ。
 試合前は「しばらくアマチュア観ていないので大丈夫かな」(山中さん)と不安そうだったが、
いざ試合が始まるといつものようにマイペースで軽妙なおしゃべりを聞かせてくれた。 
 ふたりともプロに転向する前はアマチュアボクサー。しかも内山さんは拓殖大学、山中さんは専
修大学のボクシング部に所属して「聖地」後楽園ホールで何度も戦った経験がある。
 内山さんの拓殖大学は日本一になったことがある名門校だが、元チャンピオンが披露したエピソ
ードが傑作だった。ある時の対抗戦で拓大が8―1で勝利し、みな大喜び。ただし「唯一の1敗が僕
でした」というのである。さぞやつらい思いをしたことだろう。同僚の“荷物持ち”からスタートし
てアマのトップにのし上がり、さらにプロの世界チャンピオンに出世した苦労人らしい秘話である
。 
 一方の山中さんの専修大学もかつては1部で優勝したことがある伝統校だが、山中さんが在学中
は2部で戦っていた。4年生の時に2部で優勝したことがあったものの、入替戦で敗れて1部復帰
は果たせなかったそうだ。
「久々に観て(母校を)応援させてもらいましたが、やはり団体戦でもあるリーグ戦は楽しいです
ね」と語っていた。

250628●リーグ戦を解説する内山高志・山中慎介
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