
元WBC世界スーパーライト級チャンピオンの三浦隆司さん(40歳)が久々に旧敵と再会――。
8年前に引退後は郷里の秋田に戻った元チャンピオン。現在は母校・金足農業高校(秋田市)の職員となり、ボクシング部の監督として後輩の部員たちを指導している。去る1月12日には教え子5名を連れて東京・三ノ輪のアマチュアジム、矢代ボクシング&フィットネスジムを訪れた。部員を同ジムの会員らとスパーリングさせるのが目的だった。
このジムは最近もっとも成功したジムといわれ、会員が500人を超えたという注目ジム。代表の矢代義光さん(44歳)は元日本スーパーフェザー級チャンピオン。そして2人は16年前に2度にわたってスリリングな激闘を演じた元ライバルでもあったのである。
2人が初めて対戦したのは2009年の1月17日後楽園ホール。三浦さんが矢代さんの保持する日本スーパーフェザー級王座に挑んだ。強打者2人のスリリングな戦いとなったが、結果は引き分けで矢代さんがベルトを守った。
その9ヵ月後に2人は同じリングで再戦。今度も前以上の激闘となり、ダウン応酬の末、三浦さんが7回TKO勝ちして新チャンピオンとなった。
勝負の世界は厳しい。腰痛の持病もあった矢代さんはこの試合がラストファイトとなったが、一方三浦さんはこれを機に世界目指して快進撃。初の世界挑戦では内山高志をダウンさせながら、内山の技巧に制せられ完敗。しかし、その後三浦さんは矢代さんが所属していた名門帝拳ジムに移籍したことから運が開け、13年にはついに世界タイトル奪取――。その後はメキシコ、米国のリングでも剛腕にものをいわせた。
かつてのライバルは今や帝拳ジムのOB同士。飲み会で距離を縮め、三浦さんからの要請を矢代さんが受け入れて今回の東京遠征が実現したもの。
矢代さんは。「自分と対戦した選手が世界チャンピオンになったのですから、うれしかったですよ。ずっと応援していましたし、会場にも彼の試合を観に行きました」と振り返っている。まさに「昨日の敵は今日の友」のである。
いまの三浦さんは、少ない部員(1月時点で7名)や指導の難しさなどもあり「今は試行錯誤の連続です」というが、地道に努力を続けていけば、きっと「全国大会で1勝したい」という目標も達成されることだろう。期待したい。
三浦隆司-矢代義光と再会。
三浦隆司-矢代義光1.099117.ARO3734