「ボクシングの日」の催し復活を祝す
5月19日はボクシングの日だ。1952年のこの日、白井義男さんが日本人初の世界チャンピオンになったことを記念して関係者の間でこのように言われている。東京ドームホテルで行われたチャンピオン会主催のパーティーに私も参加してきた。世界チャンピオン経験者が40名以上も登壇した光景はまさに壮観そのものだった。司会を担当した高柳謙一さんと中島そよかさんはWOWOWエキサイトマッチでもお馴染みの顔だ。久しぶりに再会してまるで同窓会でもしているような気分になった。

チャンピオン会主催のパーティーの司会を担当した高柳謙一さん(左)と中島そよかさん(右)
私が初めてテレビでボクシングの世界戦を見たのは1962年10月10日、ファイティング原田さんがポーン・キングピッチを倒して世界フライ級タイトルを獲得した試合だった。まだ12インチの白黒テレビでビデオもDVDもなかった時代。新チャンピオン誕生を伝える興奮と熱気がテレビを通じて日本中に伝えられた瞬間だった。10月10日は2年後の1964年に東京オリンピックの開会式が行われた日でもある。この日は体育の日として長い間国民の祝日にもなっていたが、私にとってはこの日が初めてテレビでボクシングの世界戦を見た「私のボクシングの日」でもあるのだ。
そのファイティング原田さんがボクシングの日のパーティーに参加されていた。今年82歳になられたそうで少し足腰が弱ってきたように見えたが、チャンピオン会から花形進さん大熊正二さんとともに永年表彰を受け満面の笑顔を浮かべていた。元チャンピオンたちのお元気な姿を見るのは、いつの時でも嬉しいものである。
会場には200名を超える大勢の参加者が来ていた。世界チャンピオンになったボクサーの人たちだけでなく、ここに参加していた人たち全員の、またボクシングに関係してきた人たち全員の、一人ひとりに「ボクシングの日」があることだろう。
この5月19日は、世界チャンピオン経験者の人たちの功績を称えるのに加えて、それぞれのボクシングの日の思いを噛みしめ共有していく日になっていってほしいと思う

理事長:今村庸一
1956年生まれ。駿河台大学メディア情報学部名誉教授。メディア論。東京大学大学院社会学研究科卒。
放送作家として数多くのスポーツ番組の企画・構成を担当。1990年よりWOWOWエキサイトマッチの構成を10年間担当。「ワールドボクシング」にもコラムを連載するなど多数執筆。