元WBA世界J・ウェルター(S・ライト)級チャンピオン、平仲信明さんの長男、平仲信裕(平仲ボクシングスクール=28歳)がプロ初戦で白星発進ーー8月19日沖縄県那覇市のてんぶす那覇で行われた興行のメインカードに登場し、ルアン・ヨンシュアイ(中国)に3―0判定勝ちを飾った。
信裕はこれまで南部農林高校――芦屋大学とアマチュアのリングに立ち、100戦を超すキャリアを築いてきた。2022年の全日本社会人選手権大会で優勝。一昨年(23年)は全日本選手権でライトミドル級で優勝。かつて父も手にしたアマの最高峰のタイトルを獲得したことで、プロ転向の決意を固めたという。
風貌はもちろん、ファイター型の戦法も父親にそっくり。この日は父がチーフセコンドをつとめた。試合では4回にかつて父も得意だった左フックをルアンに決めてダウンを奪った。しかしバッティングで左目上をカットしたこともあり、フィニッシュはならず。その後ルアンに粘られて初経験の6回をフルに戦わされた。判定は57―56(2人)、58―55と僅差ながら3―0で信裕の手が上がった。
信裕本人は「内容はよくない。プロの世界は厳しかった。でも勝ててよかった」とホッとひと安心。平仲信明会長は「勝てたのは収穫」としつつも、「アマチュアならダウンを奪った後で攻めてすぐストップになったが、プロは厳しいよ。中国選手もよかったし、信裕にはいい勉強になった」。そして「もっと練習して駆け引きを覚える必要がある」とクギをさすことも忘れなかった。
平仲会長によると、今後は地元沖縄と東京を中心にプロ・キャリアを積んでいくことにしており、次戦は11月に沖縄を予定している。
これで元世界チャンピオンの子供が現役のリングで活躍しているのは、辰吉丈一郎さんの息子壽以輝(日本スーパー・バンタム級10位)、畑中清詞さんの息子建人(日本スーパー・フライ級5位)に続く3人目となった。これまで世界チャンピオンの子供が同じ世界タイトルを奪取した例は日本ではまだない。
